
【Introduction:再会は、モニターの中で】
正直、その世界に興味はなかった。
仲間である「真っ黒なしろ」や「しずらいす」がエントリーしていると聞いても、どこか遠い世界の出来事のように感じていた、SDDL。配信のチェックも、知人の出番だけを見届ければ十分だと思っていたのだが…。
きっかけは、唐突だった。
ふらりと立ち寄ったライブ配信。そこで声をかけてきた主催者の一人は、かつてGTS(Gran Turismo Sport)時代に、同じチームでルームを共有していた旧知の仲だったボンさんだった。
「出てみませんか?」
その一言が、止まっていた時計の針を動かした。
正直に言えば、ドリコンという形式には、あまり食指が動かなかった。
筆者が今まで信じてきた「ストリート&シャコタンの文化」とは、あまりにも対極に位置する世界だったからだ。
車高、タイヤ、そしてドリフトに対する思想そのもの。
けれど、だからこそ、少しだけ覗いてみたくなった。
自分が積み上げてきた“正解”が通用しない場所で、今の自分はどんな景色を見るのか。「一回くらい、出てみるか」。その軽いノリが、深い沼への入り口だった。
【The Rule:数字が定義する「競技」の正体】
参加するに当たって、SDDLにはレギュレーションが存在する。
どの大会にでもレギュレーションはあるだろう。
レギュレーションは細かいが…
でも、読み込むほど分かってくるものがある。
これは——ただの「ゲームの中の大会」じゃない。
ちゃんと“競技”として作られているのが分かる。
「面白いな」と思ったのは、車重に応じてタイヤの幅が変わる部分。
以下SDDL Regulationsから一部抜粋
1.11. ホイールに関する技術規定:
| 車両重量 | タイヤ幅/ホイール径 | タイヤストレッチ |
| 1000 kg〜1049 kg | 235 mm / R18 | 0mm |
| 1050 kg〜1149 kg | 245 mm / R19 | 0mm |
| 1150 kg〜1249 kg | 255 mm / R19 | 0mm |
| 1250 kg〜1299 kg | 265 mm / R19 | 0mm |
| 1300 kg〜1349 kg | 275 mm / R19 | 0mm |
| 1350 kg〜1399 kg | 285 mm / R19 | 5mm |
| 1400 kg〜1449 kg | 295 mm / R19 | 5mm |
| 1450 kg〜1499 kg | 305 mm / R19 | 5mm |
| 1500 kg〜1549 kg | 315 mm / R19 | 5mm |
| 1550 kg〜1650 kg | 325 mm / R19 | 5mm |
- ADH(タイヤグリップ):100%固定,
- タイヤプロファイル(扁平率):35%固定,
- (SDDL2025シーズンのレギュレーション。2026シーズンは、タイヤストレッチが5mm統一へ変更されている。)
となっている。
これがどういう事か?
例えば1130kgの車両があったとする。
通常、履けるタイヤは19インチの245幅だが
E/g載せ替えをして1170kgになったとする。
そうすると、1150kgを超えるので幅は245から255になる。
これは面白い。
軽さを取るか?重い車でグリップを取るか?
駆け引きは、車両選びの段階から既に始まっている。
しかし、筆者の中で相棒は既に決めていた。
シルビア?180sx?はたまたツアラー?スカイライン?
なんて事にはならず、迷わずGT86を選択。
理由としては、競技になるとシルビアや180sxはかなりよく見る方(最近の事情がわからないので間違ってたらスマン)だし、
GT86みたいな最近の車両(言うてGRが出たので古いっちゃ古いが…)で参加してみたかったのだ。
車両選びも難なく決まり、次はセッティングとリバリー作成が待っている状態になった。
とりあえず、やれるだけやってみよう。
【Setup & Livery:苦戦するセッティングと浮かばないリバリー】
最初の壁は、タイヤの「扁平率35%固定」という縛りだった。
今まで遊んでいた扁平率は25〜30%。
「たかが10%弱の差で挙動なんて変わらないだろう」
と思うかもしれないが、これが驚くほど激変する。
とにかくイン巻き(振り返した際に過剰にイン側へ巻き込む挙動)が酷い。びっくりするくらいにコントロールを失う。
30%のセッティングをベースに、リアの数値を変更する。
今回走るコースは8の字で、リアルで言う所の、ポーランドのスタジアムコースなので、フロントのアライメントもいつもとは違うアプローチへ。
キャスターを起こし気味にして、フロントが転がるように。
と、あれこれ触ってるうちにマシにはなったような…。
そうなると今度はエンジンが気になりだす。
CarXのGT86は初期でJZ系が搭載されているのだが、低回転でのもたつきが気になってしまい、V8のツインターボへ変更した。
モリモリのトルク…素晴らしい!!
…なんてのは最初だけで、実際には僕が未熟すぎてトラクションがかかりにくいし、ギア比で調整しようとすれば、今度は全体のバランスが崩れて最初からやり直し。完全に迷宮入りしてしまった。
しかし、そこで天の声が…。
誘ってくれたボンさんからアドバイスを頂き、エンジンをRBへ変更し、足回りもバンプリバンプを再調整すると…
とても乗りやすくなった。
今まで悩んでいたのが嘘のようだ。
とりあえずセッティングはなんとか形になってきたので、後は実際に練習して微調整をしていくことに。
今度はリバリーを作成する。
が、ここでも悩み始める。ネットの海で様々なレースカーや競技車両を見てもピンとこない…。
クルマからかけ離れた弊害がモロに出る。
最悪リバリーはまっさらでも…なんて考えていたが、出るからには目立ちたい!!回らない硬い頭をフル回転させる。
とりあえず浮かんだものを86に盛り込んでいく。
ボディカラーは…実車時代にSNSで繋がってた女性オーナーのS15のターコイズブルーへ。
そうなるとパステルカラーや蛍光色が目立つ…?とか考え始めると、回らない頭も回り始まる。
あーでもないこーでもないと作業していくと…なんとか完成。


ホイールだけエントリー寸前まで悩んだが、現役時代(実車時代)に憧れだった「DESMOND Rega MasterEVO」にした。



あとは練習するだけ。
そうしているうちに、模擬戦の案内がDiscordのSDDL公式サーバーにアナウンスされた。
GT時代は個人主催の大会には参加した事があったが、ここまで大きな大会の経験はない筆者。
大会の進行のイメージにも繋がるかな…?と思いこちらもエントリーをする。
【Simulation: 初めて体験する大会の空気感と緊張感】
模擬戦のグループ分けがアナウンスされる。

筆者は6番目。第一グループの6番目だった。
マジか!?めっちゃ最初じゃん。
そう思うと尚更緊張してきた…
まだ始まってもないのに。
そして迎えた模擬戦当日。
なーんにもわからないままSDDL公式チャンネルの配信が始まり、チェックしつつ時間まで付け焼き刃ながらも、コースを走り込む。
そうしてると時間となり、Discordに部屋のパスが公開され入室する。
入室すると、いつもと変わらないゲームのはずなのに物凄い空気感を感じた。
続々と入室する選手達。出走順にウォーミングアップをこなし、単走に臨む。
筆者の番になる。LIVEでぼんさんに名前を呼ばれ、一本目に臨む。
今までの練習通りに走ろう。一本目は様子を見て、二本目であれこれと挑戦しよう。なんて走る前は考えていたのだが…
走り出すとそんな考えはなくなる。いや、「余裕がなかった」という言った方が正しい。
1コーナー進入はリアを壁に引っ掛ける。う~ん…予想してた通り、いやーな展開。
インサイドクリップ…これも取れない。非常にまずい…。
サイド禁止区間を超え、その先のコーナーも小さくなってしまい、挙句アングルも足りない。
まとまらないままフィニッシュ、結果はご覧の通り。

思ったよりもポイント取れてない…。気を取り直して二本目!

一本目よりは多少マシになるも、やはり伸びない。
走り終わるとあれこれ考え始める。
根本的に走らせ方が違う感じがしたし、なんだったらアングルは一本目より点数が下がってる…。
大会むずっ。35扁平むず。
全部難しく感じた。
最終的に結果は、下から3番目。
ベスト16に残らないのはわかっていたけど、70点に届かなかったのが悔しい。
自分の実力の無さにがっかりはしたが、本番まで時間も無いのでひたすら練習するしかない。
【本番当日:単走ROUND】
当日はリアルの用事も相まってかなりバタバタだった。
「練習する時間は欲しい…」と、早々に用事を切り上げCarXにログインする。
丁度大会経験者のしろさんがDiscordのVCに居たので他愛もない話をしつつ、ポーランドの走り込みを始める。
走りを見てもらい、すぐにいくつかの指摘が入る。
ライン取り、振り返しのタイミング、そしてリアの収まり。
言われた通りに修正して走ると、それまで曖昧だった挙動が少しだけ繋がる。
「なるほど、そういうことか」と思える瞬間が確かにあった。
さらにセッティングにも手を入れる。
自分では気づかなかったズレが、少しずつ整っていく感覚があった。
そうこうしていると、しずさんも合流する。
三人で談笑しながら練習しつつ、SDDLの配信開始を待つ。
二人はともかく、僕に関してはこれが初戦なので納得行くまで走り込む。
本番前に入れ込みすぎると、本番で実力を発揮できなくなるとも考えたが、そもそもそんな実力もないので構わず走りこむ。
そうしているうちに、大会開始時間を迎えた。

前回の模擬戦と同じ最初のグループだが、今回は3番目の出走。
模擬戦で空気感は掴めた感じがしていたので、今回は前回ほどの緊張はない。
開催時間になり、配信が始まる。
ルームパスが公開され、入室すると前回以上の緊張が襲ってきた。流石ノミの心臓な筆者。しかし、始まった以上走るしかない。
タイヤサイズの車検を通過し、順番を待つ。待っている間は、前の二人の走りをチェック。
二人目の走行が終わると、ウォーミングアップランへ…もうこの時点で緊張はピークに。
ウォーミングアップランも終わり、スタートラインへ。
スタートを告知するヘッドライトが消えた…!!
■単走一本目スタート
走り出してすぐの最初のコーナーは、飛び込みはいけたか!?と思った。
しかし、壁寄せでリアがヒットする。

振り返してインサイドクリップへ
ここも模擬戦同様、甘く通過してしまう…。減点は大きかっただろう。

最終コーナー
ここも進入で小さく入ってしまったため、減点されてしまう。

フィニッシュ
配信で表示された点数は模擬戦よりも高かったが、70点台には届いていない。

でも一本目はあくまでも様子見。二本目で伸ばそう…!!
そう思っていたのに、最悪な展開を迎える。
■単走二本目スタート
一本目と同じく、最初のコーナーでまたしてもリアをヒットさせてしまい、ふらついてしまう。
インサイドクリップも、一本目と同じく甘く取ってしまった。
振り返して2コーナー目
ここで最悪な事が起きてしまった。思いの外強くリアを壁に当ててしまい
失速しまずいと思ってアクセルを踏み込むと…

嫌な接触…この挙動は…

やっぱりか!?ちょっと…

マジか…!!やっちまった…
スピンしてしまった
頭の中は真っ白だった。が、筆者の単走はここで終わりではないのでとりあえず最後まで走り切ることに。
フィニッシュラインを超え、待機所へ
スピンしてすぐには無かった「悔しい」の感情がじわじわと込み上げていた。
一本目の62点では追走に残れるわけもなく、筆者のSDDL2025シリーズはここで幕を閉じた。
当日一緒に練習していた真っ黒なしろとしずらいすも予選は通過しなかった。
【参加して思った事】
たらればを言い出すとキリが無い。経験…準備…すべてが不足していた。
とにかく久しぶりの悔しい気持ちが凄かった。だけど、ものすごく楽しかった、楽しめた。
丁度CarXのマンネリ化し始めていた頃に参加したSDDL。新しい発見が沢山あった。
2026シリーズの参戦は、仕事の都合もあるのでスポットになると思う。
それでも、もう一度走りたい。
今回のこの悔しさを、もう一度あの舞台でリベンジしたい…。
そう思わせるには十分すぎるイベントだった。
運営の方々、参加者の方々お疲れ様でした。




Written by: Midnight★トウサツブ


“SDDL2025シーズン参戦記” への1件のフィードバック
こんにちは、これはコメントです。
コメントの承認、編集、削除を始めるにはダッシュボードの「コメント」画面にアクセスしてください。
コメントのアバターは「Gravatar」から取得されます。